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第15回 日本音楽療法学会関東支部講習会・地方大会 (茨城)

地方大会のご案内 2月26日(日) 10:00 〜 17:00

地方大会茨城へのお誘い

実行委員長 岩本純子

2017年早春、水戸偕楽園の梅が芳しく香る頃、地方大会茨城を開催いたします。
2017年は、世界大会が学会学術大会の代わりとなりますので、この地方大会が貴重な研究発表の機会になると思います。この大会に研究発表をとお考えの方も多いことでしょう。たくさんの方々の演題のお申し込み、そしてご参加をお待ちしております。
歴史ある街水戸で、大勢の皆様にお目にかかれますことを楽しみにしております。

地方大会プログラム

9:20〜 受付
10:00〜10:10 開会式 楽器・
書籍販売
10:10〜10:40 大会長講演
高橋多喜子 「音楽療法の発展に向けて」
10:40〜10:50 休憩(10分)
10:50〜11:50 特別講演(市民講座)
成田奈緒子 「音楽・リズムで脳とこころを育てる」
11:50〜12:40 昼休み(50分) 幹事会(12:00〜12:30)
12:40〜13:00 総会
13:00〜13:10 休憩(10分)
13:10〜15:00 シンポジウム
「心の声に耳を傾けよう」
丹野智文、岡田健佑、小松尚也、山本久美子、橋稔
15:00〜15:10 休憩(10分)
15:10〜16:35 研究発表・ポスター発表
16:40〜16:50 閉会式  (17:00 クローク終了)

大会長講演   10:10〜10:40  大ホール

「音楽療法の発展に向けて」

高橋多喜子(淑徳大学)

大会長講演として30分いただきました。この30分で音楽療法の発展に向けて何かお話しができればと考えます。
私は認知症高齢者の音楽療法効果について長年、研究をしてきました。最初の頃、音楽療法効果は本当にあるのか、寄席のお笑いとどう違うのか、HDS-Rはなぜ上がったのかなど様々なことを言われてきましたが、認知症高齢者に「なじみの歌」を歌うことが高齢者の行動に変化をもたらすことを単一事例実験デザインで示すことができました。また高齢者の「なじみの歌」とはどんな歌なのかの調査を約800人の高齢者を対象に行いました。そんな20年も前の話を少しさせていただき、次にシスティマティックレビュー(現存する文献の徹底的なレビューを行い定式化した課題について論じるもの。最も強力なエビデンスを生み出す研究法の一つ)を中心に、認知症高齢者の音楽療法効果と言われていることをまとめていきたいと思っております。
今、また、医療の中で音楽療法のエビデンスが注目されています。音楽療法のエビデンスを知ることは重要なことです。臨床家として音楽療法のエビデンスを知り説明できることは、臨床を行う上でクライエントへの説明責任を果たすことにもなります。そしてそのことが国家資格にもつながっていくと思うのです。

<プロフィール>
福岡県に生まれる。国立音楽大学音楽学部楽理学科卒業、筑波大学大学院教育研究科障害児教育専攻修了、医学博士(順天堂大学医学部)、淑徳大学教育学部教授、日本老年行動科学会常任理事、日本音楽療法学会理事
<著作>
「補完・代替医療 音楽療法 改訂2版」金芳堂、「認知症予防の音楽療法 いきいき魅惑のベル」オンキョウ、「高齢者のからだ・あたま・こころ」日本老年行動科学会DVD 他

特別講演   10:50〜11:50 大ホール

「音楽・リズムで脳とこころを育てる」

成田奈緒子(医師・文教大学)

子どもが一生心身共に健康で幸せに暮らせるための脳の土台は乳幼児期に作られます。だから、この時期には何よりも「きちんと寝て、きちんと食べて、そしてニコニコ楽しく体を動かす」ことが必要なのです。一生困らない良い脳を作るもとは、生活です。
きちんとした生活習慣の中で、親子でのリズム遊びや音楽を積極的に取り入れることが、特に発達期の脳や障害のある子どもの脳に効果的であることを、研究結果とともにご紹介します。

<プロフィール>
文教大学教育学部特別支援教育専修教授、日本小児科学会認定小児科専門医・発達脳科学者、子育て科学アクシス代表
神戸大学医学部卒業、医学博士。日本小児科学会認定小児科専門医、米国セン卜ルイスワシン卜ン大学医学部リサーチアソシエート、獨協医科大学越谷病院小児科助手、筑波大学基礎医学系講師を歴任し、小児科の臨床と基礎研究に従事する。2009年より文教大学教育学部特別支援教育専修教授、兼、茨城県発達障害者支援センターと茨城県土浦児童相談所の嘱託医等を兼任。牛久愛和病院小児科での専門外来も開設しており、小児期のさまざまな精神心理疾患の外来診療にも携わっている。2014年からは医学・心理・教育・福祉を包括した専門家団による新たな親支援事業「子育て科学アクシス」を開設、代表に就任。また、文部科学省や東京都教育委員会などで子どもの生活習慣を科学的に考える育児、教育ヘの提言・社会活動を行っている。
<著作>
「『睡眠第一!』ですべてうまくいく」双葉社、「早起きリズムで脳を育てる」芽ばえ社、「小学生ママのしんぱい百科 家庭編」小学館、「脳の進化で子どもが育つ」芽ばえ社、「なぜ?がなるほど!に変わる本」ブレーン社、「赤ちゃんの脳とこころを育てる親子レッスン」ブティック社、「脳の鍛え方 育てかた」すばる舎 他

シンポジウム   13:10〜15:00 大ホール

「心の声に耳を傾けよう」

「心の声に耳を傾けよう」をテーマにシンポジウムが開催されます。「こころの声」とは、クライエントの声だけではなく、私たちセラピストの「こころの声」とも考えられますが、ここではクライエントの「こころの声」に焦点をあてて考えていきます。
若年性アルツハイマー病の方や自閉症スペクトラムの方がご登壇され、理論で学ぶものとは異なる具体的な「声」に触れることによって、私たちにできることは何なのか、音楽で何ができるのかをフロアの皆様と考えていきたいと思っております。
また多くの解決法を持っているといわれるアクセプタンス・コミットメントセラピーとはどんな手法なのか、この手法に音楽を取り入れることはできるのか、どんな形になるのかなど考えていきたいと思っております。皆様からの忌憚のないご意見をお待ち申し上げております。

シンポジストのご紹介

丹野智文
現在42歳、妻と中学生高校生の娘との4人暮らし。
ネッツトヨタ仙台勤務。39歳で若年性アルツハイマーと診断される。会社の理解のもと、営業職から事務職に異動し、仕事を続けている。
・認知症本人のための相談窓口「おれんじドア」代表
・日本認知症ワーキンググループメンバー
・公益社団法人認知症の人と家族の会 宮城県支部会員
・若年認知症のつどい「翼合唱団」会員

岡田健佑
平成6年9月生まれ。茨城県育ち。平成13年4月〜平成25年3月:茨城県立伊奈養護学校(現在は伊奈特別支援学校に改称)に在籍。現在、(株)すかいらーくに勤務。平成15年11月より高橋多喜子先生のもとで音楽療法を始め、13年間、音楽に関わってきて多くの喜びを得る。現在は、平日は厨房内でお客様に美味しい料理を作っている。料理と音楽はとてもよく似ている部分がある。

小松尚也(同和会千葉病院・認知症疾患医療センター)
「当院と認知症センターの活動報告」
医療法人同和会千葉病院は、千葉県の認可を受け、東葛南部圏域における認知症疾患医療センターとしての活動を平成26年10月より開始しました。日々の活動としては電話相談と外来受診が主であり、診療日は大体1件ずつの相談や受診がございます。認知症の症状と一口にいっても、物忘れ、不眠、言動や行動の乱れなど様々なタイプがあります。しかし共通するのはそれらのせいで、ご本人やご家族の生活あるいは関係性に様々な不自由や支障をきたすことです。その点について特に我々スタッフは早期に介入させていただき、不自由が解消するようにしたいと思っています。
<プロフィール>
千葉大学大学院医学研究科博士課程(内科系)修了、医学博士
精神保健指定医、精神保健判定医、日本精神神経学会専門医および指導医、日本医師会認定産業医、認知症サポート医
千葉大学医学部付属病院の文部教官助手、文部科学教官講師、千葉大学助教授(精神医学)、医療法人同和会千葉病院副院長を歴任し、現在、千葉大学医学部精神医学臨床教授、医療法人同和会千葉病院院長、認知症疾患医療センター(東葛南部)センター長

山本久美子(東京芸術大学)
今、教育の現場で増えているのは、自閉症スペクトラムといわれる子どもたちです。私が関わっている学校や福祉施設、放課後デイにおいても、生きづらさを抱え、パニックになり、悩み葛藤している彼らの姿に接することが多々あります。その都度、彼ら一人一人の考えや行動の状態をどうとらえ、その背景にあるものは何なのか、保護者やスタッフ、関連領域の方々と連携を取り、試行錯誤しています。とりわけ、音楽療法は「コミュニケーション」「こだわり」「社会性」「感覚過敏」において、どんな役割りと効果を見い出すことができるのか、体験を交えてお話ししたいと考えています。
<プロフィール>
武蔵野音楽大学音楽学部器楽科卒。中学校、特別支援学校にて34年間勤務。音楽教育に音楽療法の手法を取り入れて実践。宇都宮短期大学教授を経て、現在東京藝術大学非常勤講師。山梨音楽療法研究会会長

橋稔(目白大学)
アクセプタンス・アンド・コミットメントセラピー(ACT("アクト"と呼びます))は、認知行動療法の第三世代のひとつとして注目されています。新しい展開として注目される一つの理由として、症状対処型の方針を脱却し、クライエントの「価値」にそった生活を模索する点が挙げられます。「価値」というと、社会規範にそった崇高なものをイメージされがちですが、むしろその人にとって「たいせつなもの」「大事にしたいこと」と表現したほうが理解されやすいかもしれません。このシンポジウムでは、ACTのベースとなっている応用行動分析学の考え方とともに、実際の技法をいくつか紹介しながら、話題提供していきたいと思います。
<プロフィール>
筑波大学大学院博士課程心身障害学研究科退学、教育学修士(筑波大学)。目白大学人間学部心理カウンセリング学科准教授 日本認知・行動療法学会編集員会、教育・研修委員会(現在)、ACT Japan理事長。ほか、日本心理学会、日本行動分析学会、日本カウンセリング学会に所属。栃木市こどもサポートセンター スーパーバイザー、新宿区公立小中学校特別支援教育巡回指導チーフアドバイザー、ケニア ナイロビ日本人学校への心理的支援、研究協力などの社会的活動を行っている。

座長 野上哲夫
茨城県龍ケ崎市出身。鹿児島大学医学部卒。鹿児島大学医学部付属病院、筑波大学付属病院で小児科臨床研修後、茨城県内の総合病院小児科勤務を経て、平成10年(1998年)龍ヶ崎市に野上小児科医院開業〜現在に至る。日本小児科学会・専門医、日本小児科医会・地域総合小児医療認定医、日本アレルギー学会・専門医、日本東洋医学会・漢方専門医、日本感染症学会・ICD(Infection Control Doctor)

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