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第8回日本音楽療法学会関東支部大会をふりかえって

大会長 藤本禮子(創造学園大学)
第8回日本音楽療法学会関東支部講習会・地方大会(東京)は、2009年12月5日、6日の2日間、「観る心、よりそう心」を大会テーマとして、埼玉県川越市の東邦音楽大学で開催されました。

12月5日の講習会は、8コマのワークショップと4コマの講演が企画されました。ワークショップは1コマ20〜40名と少数定員としたこともあり、受付初日に定員に達するという盛況ぶりでした。運営側としてはコマ数が多いことによる準備・対応に煩雑を極めましたが、当日の参加者からは、どの講座も満足できる内容だったとの感想が寄せられました。

  特別講演は、京都大学霊長類研究所の正高信男先生をお招きして「子どもの言語発達と音楽の関係について」というテーマでお話しいただきました。2頭のチンパンジーが「合いの手」入れながら、また複旋律を歌い合う様子など、人間の発達について改めて考える貴重な機会になりました。シンポジウムは大会テーマについて、東京大学大学院の遠藤利彦先生には、心理学者の立場から心(愛着関係)の発達の観点から、また昭和音楽大学の伊藤啓子先生には、学生を養成する立場から、大宮厚生病院の井澤文緒先生には音楽療法士の立場からそれぞれお話をいただきました。テーマに沿った実質的な内容のシンポジウムであったと思います。

今回初めての企画として、音楽療法士養成校の学生による「ひよこフォーラム」が行われました。音楽療法士養成機関による音楽療法教育も10余年になり、多くの教育現場で音楽療法士の「ひよこ」が育っています。このフォーラムは、その「ひよこたち」と現場で経験を積まれた多くの先輩たちとが直接かかわり合う時間を設けたいという思いから企画されました。先輩たちを前に初めて発表する「ひよこたち」が過度に緊張しないように、学生食堂脇の喫茶室で行われました。思いがけず多くの先輩たちが集まってくださいました。真剣に発表する「ひよこたち」とそれをあたたかく見守り声をかける先輩たちの様子に、今回のテーマの現実化と音楽療法界の明るい将来図が伺われました。

学会による一般申請暫定期間が2010年で終了し、その最終申請期限が10月となったことに伴って、9月に松山で行われた第9回本部学会学術大会では非常に多くの発表がされました。そのせいでしょうか、今回の支部大会での研究発表の応募数はこれまでの支部大会で最も少ないという結果となりました。しかしこの応募数の少なさを逆手に取り、査読に時間をかけ応募者には丁寧な発表準備をしていただくことができたと思います。

閉会式では参加者全員一体となって、ミヨー作曲「スカラムーシュ」をピアノ、バイオリン、音積み木、ホーン、コンガ、手拍子などで演奏し、2日間を締めくくりました。

講習会参加者403名(事前申込み378名、当日参加 25名)、地方大会参加者428名(事前申込み365名、当日申込み 63名)で、講習会・大会の延べ参加者数は831名でした。

当日参加の方が合計88名と予想外に多く、準備した抄録集が不足するという事態となりました。ご迷惑おかけいたしましたことをお詫び申し上げます。

今回から、参加申込がインターネットのみとなりました。表面的には大きな混乱は見られませんでしたが、ご不便をおかけした会員の方々もいらっしゃったのではないかと思います。今後はインターネット利用の方向に進むと思われます。課題と対応を検討する必要があるでしょう。

今回支部大会を担当した「東京都」には、大会等の運営経験のあるベテラン音楽療法士が多くいらっしゃいます。その方々が進んで実行委員を引き受け、各委員会に分かれて活発に企画・実行をして下さいました。また関東支部長・支部事務局長も東京都所属の会員として顧問を引き受けて下さいました。このような恵まれた体制と多くの会員の方々に支えられて、今回の大会を無事終了することができましたことに心から感謝申し上げます。

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